元町工場の職人が営む地域に愛される焼肉店 ——ホルモン焼もんもん(京急大森町店)

2021.04.23 / EVENT

京急大森町駅高架下にオープンした「梅森プラットフォーム」第2ユニットに「ホルモン焼もんもん京急大森町店」がくわわる。今回、新店舗の出店に際して、店舗を経営する有限会社ハネヨシ代表取締役の吉原裕二さんにお話をうかがった。


ハネヨシ代表取締役の吉原裕二さん

町工場から焼肉屋へ

吉原さんの稼業はもともと大田区の町工場。

ご自身も20代で金型職人として独立し鉄を削っていたという。

しかし肉問屋を営む兄を不慮の事故で亡くしたことをきっかけに、製造業をたたんで肉問屋を引き継ぐことになった。

料理人を雇い入れて、自社で仕入れた牛肉を提供する飲食店の経営に乗り出すも、なかなか軌道にはのらず、これまで5軒続けて失敗してきたという。

もうやめようかとも考えたそうだが、最後に自分のやりたいようにやってみようと始めたのが「ホルモン焼もんもん」だった。

「もんもん」は北品川店、大鳥居店につづき、今回の京急大森町店で3店舗目の出店となる。

肉問屋ならではの仕入れ

焼肉店にとってまず重要なのは質のよい肉を仕入れることだが、これが簡単ではない。

牛肉の仕入れは、お金さえ払えば誰でも買えるたぐいのものではなく、生産者との信頼関係によるところが大きいという。

ハネヨシの仕入れは、兄時代からの肉問屋のネットワークを引き継ぎながら、吉原さん自身が少しずつ広げてきたものだ。

関西方面のコネクションを生かして、これまで佐賀牛をメインに扱ってきたが、今後は但馬系のブランド牛「田村牛」の提供の準備を進めているそうだ。

常識にとらわれない食肉加工

仕入れた牛肉は、吉原さん自ら捌いて各店舗に送る。

吉原さんによれば、肉屋には肉屋の常識があり、焼肉用に適した部位や切り方・焼き方はだいたい決まっているという。

しかし町工場出身の吉原さんにはそうした固定観念はない。

「焼きには適さないとされている部位でも、どう切れば焼きでおいしく食べられるか、ひとつひとつ考えながらカットしていきます。うちは焼肉屋だから、ぜんぶ焼きで出したい」と語る。

捌いた肉はかならず自分で味見をして、提供する際の厚みや、隠し包丁の入れ方など、細かく指示をつけて各店舗に出している。

独学で金型職人になった吉原さんは、当時から自分で考えながら切ってみることが好きだったという。

鉄から牛肉へとカットする対象は変わっても、その姿勢は変わらない。

地域の人たちに本物の牛肉を

「もんもん」を経営する有限会社ハネヨシは、現在も大田区を拠点としながら地元地域を中心に店舗を展開している。

その背景には、低価格の焼肉チェーンが一般的になるなかで、「地域の人たちには生産者から直接仕入れた本物の牛肉を食べさせてあげたい」という吉原さんの思いがある。

そのためにも、できるだけ良い肉を、できるだけ安く、ボリュームを重視して提供しているという。

実際に、一般的な一人前の量80-100gに対して150gを基準としているそうだ。

肉問屋として卸売業でもきちんと利益を出しているからこそ、それが可能だという。

「カルビとロースは宣伝費だと思って利益はほとんど出ない設定です。それでも地元の人に美味しいと喜んでもらえて、また来てもらえれば広告を打つよりずっといい」と、吉原さんは語る。

大鳥居店につづいて、京急大森町駅店も地元に根付いた焼肉店になることを期待したい。

ホルモン焼もんもん京急大森町店
営業内容:焼肉・ホルモン焼き
オープン日:2021年4月20日
ランチ:(火~日)11:30~14:00 
ディナー:(火~土)17:00~23:00、(日・祝)16:00~22:00
*ランチ・ディナーとも定休日は月曜日
電話番号:03-6423-0529

(文・和田隆介)